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〜看護学生が覚えたい! 101の疾患

慢性腎不全

【病態生理】(表1)

  • 慢性腎不全は,急性腎不全と違い,数か月から数年かけて腎不全となる.
  • 慢性腎不全はすべての原発性,続発性腎疾患が原因となりうる.頻度は,①慢性糸球体腎炎,②糖尿病性腎症,③腎硬化症,④多発性嚢胞腎,⑤慢性腎盂腎炎の順である.

  • 糸球体濾過過剰の状態が長く続いた結果,糸球体硬化となり,働くネフロン数*1が減少(糸球体濾過面積が減少)してGFR*2の低下をまねき,腎不全が進行する.糸球体硬化の主病態は,糸球体・ボウマン嚢間の通過障害である.
  • 慢性腎不全のメカニズムは,主に糸球体濾過面積の減少,糸球体濾過係数(濾過効率)の低下である.病理組織では,多発性嚢胞腎を除いて萎縮腎を呈する.

  • 多発性嚢胞腎は,腎実質が多発する嚢胞に置き換わり,有効な腎実質,言い換えればネフロンが減少する.その結果,糸球体濾過面積が減少する.
  • 慢性腎不全は,経過が長いため,多彩な症状を呈する.
  • 慢性腎不全の病期は,機能するネフロン数の減少とともに進行する. 

*1 ネフロン(nephron ):1本の尿細管のこと.ヒトは左右の腎臓合わせて200万個ほど存在し,各ネフロンで濾過,再吸収,分泌,濃縮が行われ,原尿が作られる.
*2 GFR(Glomerular Filtration Rate):糸球体濾過量の略で,フィルターの役目を果たす糸球体が1分間にどれくらいの血液を濾過し,尿をつくれるかを表す.

 

表1 慢性腎不全の病態生理

①窒素代謝産物の排泄と代謝の障害→
 ・高窒素血症やタンパク代謝物の貯留
 ・BUN(血中尿素窒素)やクレアチニンや尿酸が増加

②酸−塩基平衡是正の障害→
 ・代謝性アシドーシス

③水−電解質代謝の調節異常→
 ・溢水,高カリウム・低ナトリウム・高リン・高マグネシウム血症

④ビタミンDの活性化障害→
 ・低カルシウム血症,高PTH血症*a
 ・骨軟化症,線維性骨炎(腎性骨異栄養症*b)

⑤エリスロポエチン*cの産生・分泌障害→
 ・貧血

⑥レニン分泌や血管拡張物質の産生異常→
 ・高血圧

⑦尿毒素の形成

*a 高PTH血症:高副甲状腺ホルモン血症

*b 腎性骨異栄養症:腎不全に伴う骨代謝の異常を指す.

*c エリスロポエチン:赤血球の産生を促進するホルモン.腎臓でつくられる.腎不全で不足する.