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看護教員がおくるリレーエッセイ

第11回
看護学生の存在―情報収集の前に―

松田 直正 Naomasa Matsuda

淑徳大学看護栄養学部看護学科

看護が細分化・高度化しても,見失ってはいけないこと

今回で私のエッセイは最終回となりましたので,最後に,前述のような状況が起こる背景に少しふれておきたいと思います.

 

現在の看護界における関心事の主なものは,「看護職の裁量拡大」「質の高い看護人材を育成する教育・研修・資格・認証制度の構築」です1).来るべき高齢者社会に向けて,これは当然のことですね.

 

そのために看護の専門分野はより細分化・高度化を果たしていて,それに伴い,既存の認定看護師・専門看護師等の資格や,新設が期待される資格認証制度に付随して,裁量拡大が進んでいくものと思われます.

 

このように看護の専門分野が細分化・高度化をたどる一方で,患者さんが病気や障害により苦悩している実態が,どこか置き去りにされている印象が否めないと,私は思うのです.

 

だからこそ私は,あなたに,こうした看護界の背景を頭のどこかに置きつつも,「私の一番の関心は患者さん!」という態度があふれる,ステキな看護師になってほしいと期待しています.

 

※本連載に登場する事例は完全に架空のもの,あるいは一部分が事実に基づいていたとしても大幅に情報を変更しており,架空のものと考えて差し支えありません.

 

引用文献

1)日本看護協会:2025年に向けた看護の挑戦—いのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護—看護の将来ビジョン.日本看護協会,2015.

http://www.nurse.or.jp/home/about/vision/pdf/vision-4C.pdf

 

(この記事はナーシング・キャンバス2016年2月号に掲載されたものです)