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国際化社会と看護

第4回
排泄習慣の違い②

小笠原 広実 Hiromi Ogasawara

医療法人 偕行会法人本部海外戦略部
公益財団法人 日本アジア医療看護育成会(研究員)

前回,国によってトイレの形や排泄習慣が違うことをあげました.第4回の今回は,インドネシアでの「入院時の排泄介助」について,日本とどのような違いがあるのか,私の入院経験をもとにお話ししていきたいと思います.

 

 

インドネシアの病院での排泄ケアは……?

さて,みなさんは臨地実習などで,ベッド上で安静にしている患者さんの排泄介助をしたことがあるでしょうか? 人はトイレに行って排泄することができなくなってはじめて,自由に自分で排泄する快適さに気づくものです.

 

また,なかにはベッド上での排泄の体験学習をしたことがある人もいるでしょう.ベッド上での排泄は腹圧がかけにくく,また周囲に排泄時の音が漏れ聞こえてしまうことが気になったり,シーツを汚してしまわないかと気になったり,なかなかうまく排泄ができないものです.

 

さらに,そのあとの始末を他人にしてもらわなければならないとしたら,恥ずかしい気持ちやすっきりしない気持ちが残りますね.また入浴もできなければ,陰部の汚れはとても不快に感じるものです.

 

本連載第1回(2016年4月号)で,インドネシア滞在中にA型肝炎で入院した話をしました.入院中の数日間,ベッド上安静になったときがあったのですが,いつも排泄後に陰部を水で洗い流す習慣のあるこの国で,どのように排泄ケアをするのか,好奇心がわき起こりました.

 

そして,いよいよ床上排泄のときがきました.インドネシアの看護師は,ペットボトルに水を入れてベッドにやってきました.排尿後,そのペットボトルの水を陰部にかけて流してくれました.インドネシアは暑い国ですので,水であってもあまり気にならず,とてもすっきりした気分になりました.

 

インドネシアのトイレでは,桶を使って排泄後に水で洗い流す習慣があります.病院でも排泄するごとに陰部を水で流してくれるので,陰部の不快感もなかったのです.こんなところにも,普段の生活習慣に沿ったケアが行われているのだな,と感心した記憶が残っています.