【解説】

上肢の薬指と小指のしびれは尺骨神経麻痺によって生じる．尺骨神経障害は，手術台や手台などでの圧迫，過度の上肢の外転，過度の前腕の屈曲や回内で生じる．頭部の片側が過度に屈曲され，頸部の伸展が過度になると，上腕神経叢が障害され，エルブ麻痺とよばれる肩や肘の麻痺がみられる．野球の投球時には，肘関節が伸展した状態では肩関節の内旋が起こり，棘上筋腱などに過負荷が加わるため，筋力の弱い学童期や思春期前，壮年期の選手にいわゆる野球肩を生じさせる原因となる．