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サイボーグ父さんの『患者道』

第13回
心房細動を併発 ICDが誤作動

サイボーグ父さん(60代,会社員)です.
患者目線で,現在の高度な医療を体験して感じたことをお伝えしていきます.

抗凝固剤の服用

 その1か月の診断では引き続き心房細動が出ていて,長いものは24時間継続しているという.心室のほうはというと「心室性期外収縮」は1回あるが,問題となるものはなし.ただ心房細動がそれなりに見られるので,抗凝固剤を服用するかどうかが再び話題になった.脳梗塞の発症リスクを測る指針である「CHADS2スコア」は,サイボーグ父さんはゼロだが,リスクがゼロというわけではない.サイボーグ父さんは決しかねて
 「先生が私のような患者だったらどうします」と尋ねると
 「脳梗塞になったらおしまい.私なら飲む」とのことだった.

 実はサイボーグ父さんは自らの知り合いで心房細動を患っているひとが3人いた.それぞれの人の「CHADS2スコア」は知る由もないが,3人とも抗凝固剤を服用していると聞いていた.いずれも年齢は「CHADS2スコア」の指標の一つである75歳よりも下である.後日,別の医師にも見解を聞いてみたが
 「血栓のリスクはあるので予防的に抗凝固剤を飲むのは問題ない」という.前の医師とニュアンスが若干違うが.ゼロではないがリスクがあることは否定できないようだ.何よりも脳梗塞はたとえ命を取り留めても,その後重い障害が残ったりして,家族や周りの人々に大変な迷惑をかけることは間違いない.こうして服用する薬がまた1つ増えた.

 

 

ジェネリックはまだ出ていない

 服用する抗凝固剤は,DOAC(直接経口抗凝固剤=Direct Oral Anti Coagulants)のひとつで,主治医がサイボーグ父さんの症状に合わせて処方してくれた.従来からの著明な抗凝固剤であるワルファリンカリウムに比べ,脳梗塞の予防効果はほぼ同等で,納豆やホウレン草などの食事制限がなく,出血性の副作用も少ないという.

 ただこの新薬の特許がまだ有効なようで,ジェネリック(後発医薬品)が出ていない.日本ジェネリック製薬協会のホームページに,新薬をジェネリックに変えた時の薬代を計算してくれる「かんたん差額計算」という機能がある.ここで薬品の製品名を入力するとジェネリックとの差額を計算してくれるのだが,サイボーグ父さんに処方された薬の名前を入力して試したところ,当たり前だが「ジェネリック医薬品はまだ発売されていません」という結果になった.

 薬局で薬剤師にいつごろジェネリックが出るのかを尋ねたところ,はっきりしたことはわからなかった.新薬の発売後,一桁の後半から十数年でジェネリックが発売されるということのようだ.政府は医療費の抑制の観点から,ジェネリックを推奨しており,2020年9月までに使用の割合を80%とする目標を設定している.患者とすれば,症状と薬の性格上,長く飲み続けることになるので,いずれジェネリックの恩恵に預かれることになることは間違いないが,待ち遠しさは切実である.

 

 

次回「遠隔モニタリングのお値段(診療報酬)は?」に続く