お役立ち満載

サイボーグ父さんの『患者道』

第14回
遠隔モニタリングのお値段(診療報酬)は?

サイボーグ父さん(60代,会社員)です.
患者目線で,現在の高度な医療を体験して感じたことをお伝えしていきます.

やっと見つけた.厚生労働省のホームページで

 ところが,見つけるのは結構大変だった.「診療報酬改定 遠隔モニタリング加算」で検索しても,過去の診療報酬改定の議論で,厚生労働省などが作成した説明資料のなかに断片的な記載はあるが,なぜ遠隔モニタリング加算がいきなり60点から320点に引き上げられたのか,その理由を直接説明するような記述は,サイボーグ父さんは見つけられなかった.「先進的な医療技術の適切な評価」という文脈で記載されているだけだった.

 診療報酬の遠隔モニタリング加算の数字自体は厚生労働省のホームページで公開されている資料のなかで,「平成30年度(2018年度) 診療報酬点数 医科 > 第2章 特掲診療料 > 第1部 医学管理等 > B001 12 心臓ペースメーカー指導管理料」というところの,その注の5に「遠隔モニタリング加算として,320点に当該期間の月数を乗じて得た点数を,所定点数に加算する」とあった.これを平成28年度(2016年度)版で確認すると,注の5の文章は全く同じで,違っているのは320点のところが60点になっているだけだった.

 

 

診療報酬改定は2年に1度,次に上がるのは?

 「診療報酬」は医療や医薬,介護など幅広い数多くの医療行為に対する報酬をそれぞれ決めているので,項目は膨大な数になる.それが2年に1回の見直しで,変動するものもあり,変わった各項目について,すべてに説明があるわけではない.またどこが変わったのかは,前の診療報酬と突き合わせない限りは,わからないものも少なくないようだ.これは医療事務などで日ごろから診療報酬を見慣れている人ならともかく,普通の患者には気づくことも見つけることも簡単ではないと思う.

 しかし次回の診療報酬の改定に向けて,遠隔モニタリングではないが,今度は実際にペースメーカー外来を受診する際にかかる「心臓ペースメーカー指導管理料」に対して,ある病院の団体は,現行の360点を①両心室ペースメーカー420点②植込み型除細動器480点③両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器540点―――とするよう要望を厚生労働省に提出するなど,サイボーグ父さんにかかわる診療報酬に対する新たな動きが出ている.

 個々の診療行為の評価自体は最終的に厚生労働省が決定するもので,実際の指導管理にかかる負担やコスト,効果を社会・経済情勢のなかで1つひとつ落とし込んでいくことになる.そのプロセスは,何か事件が起きてマスコミがスポットを当てて取り上げることがなければ,黙っていても気がつくというものではないのかもしれない.やはり患者団体や患者1人ひとりが,自己にかかわる「医療の値段」の決定に関して注視して,また必要に応じ説明を求めていくしかないだろう.少なくとも直接患者から個々の診療の対価を受け取る医療機関には,患者にとって「不意打ち」感のないような説明を求めたい.

 

 

次回「ICDを止めて? 歯科治療」に続く