お役立ち満載

看護教員がおくるリレーエッセイ

第1回
治らない病気に対して,
看護学生が持つイメージについて

松田 直正 Naomasa Matsuda

淑徳大学看護栄養学部看護学科 講師
看護師・保健師・社会福祉士

私も一緒に悩んでいます

私は精神看護学の教員です.今はちょうど実習指導の真っ只中.日々,泣いたり笑ったり,想定外に起こる出来事の対応をしています.

新年度を迎える学生のみなさんは,日々の実習記録や情報収集,アセスメント,看護計画の立案と実践,評価に追われることでしょう.さらに,教員と指導者の顔色を伺ったり,患者さんに会いに行くのに躊躇することもあるかもしれません.

看護師を目指す者なら誰もが通る道ですが,簡単でラクな道ではありませんね.一緒に頑張りましょう.

 

ちなみに,実習では,教員もなかなか大変なんですよ.

精神看護学実習では,長期にわたる慢性期の統合失調症の患者さんを受け持つことが多いのですが,学生からときどき「何をしたらいいかわからない」と言われたり,「患者さんを取り巻く家庭環境や経済状況が過酷すぎて,私にできることは何もない」と苦悩されたり…….

患者さんも学生もみんな違う人間ですから,私も一緒に,日々新たに悩んでいます.

 

「私にできることは何もない」と悩んだ学生には,私は,ちょっとラクをしようとして,「ナーシング・キャンバス2014年7月号の特集『患者さんに“寄り添う”ための心構え』を読んでみて」と伝えました.

また,「何かを無理に話すんじゃなくて,ただ患者さんに,患者さんの苦悩に寄り添うことに意味があると思うよ」とも,短く伝えました.このとき,あの特集はそれなりのボリュームがある文章でしたが,同様の内容を実習の指導時間内に伝えきれないもどかしさを感じました.