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看護教員がおくるリレーエッセイ

第3回
看護職の近未来

松田 直正 Naomasa Matsuda

淑徳大学看護栄養学部看護学科 講師 看護師・保健師・社会福祉士

福祉専門職の深刻な人手不足

2015年3月14日,NHKで,おどろきのニュースが流れました.

 

「厚生労働省は,いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上となる10年後の2025年,介護職員が全国でおよそ33万人不足する一方,保育士は2018年に全国でおよそ7万人足りなくなると推計しており,地方や中山間地域の福祉施設で人手不足が深刻化し,存続が難しくなるケースも予想されるとしています.

 

こうした状況を受けて,厚生労働省は,介護施設や保育施設,障害者施設を1つにまとめて運営できるよう規制を緩和することや,将来的に介護福祉士や保育士,准看護師などの資格を統一することを検討する考えです.

 

こうしたことが実現すれば,1人の職員で高齢者の介護と乳幼児の保育に当たることができるようになり,職員が少なくても福祉施設の運営が可能になるとしており,近く省内に作業チームを設け,福祉施設の団体などからのヒアリングを始めることにしています」

といった報道です.また,福祉新聞にも同様の記事が掲載されました1).これらの元ネタはどれなんだろうと探してみたところ,平成22年に行われた厚労省のワーキング・グループ資料にたどり着きました2)3)

また,ここではくわしく述べませんが,近年,介護福祉士や,資格を持っていない介護職であっても,喀痰吸引を実施できる体制が整いつつあって,喀痰吸引を実施できる「認定特定行為業務従事者認定証」を持つ者がすでに約20万人存在します4)5)

 

一方で,看護職は,専門分野が非常に細分化しています.みなさんが学ぶカリキュラムでも,「基礎」「成人」「老年」「精神」「小児」「母性」「訪問」「公衆衛生看護」などの文字が並んでいますので,なんとなく実感されていると思います.さらに,たとえば,認定看護師制度で与えられる資格の名称は年々増加していて,「がん化学療法看護認定看護師」「がん性疼痛看護認定看護師」「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師」等,現在21の分野があります6).そして,現在,厚労省医道審議会(看護師特定行為・研修部会)では,より高度な実践(特定行為)ができる看護師について検討されています7)