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看護教員がおくるリレーエッセイ

第8回
慢性疾患とともに,生きるということ

瀬戸 奈津子 Natsuko Seto

関西医科大学看護学部設置準備室 教授

病歴の長い患者さんとのかかわり

急性期病院での実習指導において,1グループに1~2名の学生は,非がん疾患の患者さんを受け持たせていただく場合があり,少数であるがゆえに戸惑う学生がみられます.

 

学生のA君は,透析療法歴30年,C型肝炎と診断されて10年が経ち,インターフェロン治療導入の目的で入院された50歳代男性のBさんを受け持ちました.Bさんは,同疾患から透析療法を受けていたお兄さんを5年前に亡くされています.

 

入院中も週3回の血液透析を継続されており,A君は,実習の期日に沿ってアセスメントを進めるために,いろいろお話をお聞きしたいけれど,血液浄化部で傍らにいさせていただいても話が弾むわけなどなく,焦っています.

 

そしてとうとう,カンファレンスで泣き出してしまいました.「今までのことやお兄さんのこと,お聞きしようと思うけれど,その話になるとBさんがつらそうな顔をされるのです.それを見ると話が進められなくて……」

 

A君のように「慢性疾患とともに,生きるということ」について,Bさんが生きてきた今までの重みをわずかながらでも理解できれば,看護師長さんも私も充分だと思っています.