お役立ち満載

看護教員がおくるリレーエッセイ

第10回
きらきらナース

瀬戸 奈津子 Natsuko Seto

関西医科大学看護学部設置準備室 教授

日々の受け持ち看護師さんの看護に学ぶ

第6回で紹介した卒業生のAさんも,3年目ナースとして,患者さんから「あの人は頼りになる」と言われています.また,F副師長さんの柔らかく流れるような物腰には,個性的で学生にはとっつきにくい感じの患者さんも,心を開いていきます.

 

G看護師さんは,肝臓がんでラジオ波焼却術を受ける患者さんが「怖い.逃げようかと思って…」と話すと,「逃げるときは私もついていきますよ」と言い,患者さんも,「あんたおもろいな~」と表情を和らげました.

 

H看護師さんは,胃がんの内視鏡手術の前で,表情が硬くて口数も少ない,緊張している様子の患者さんに,「ずっとそばにいます,大丈夫ですよ」と声をかけ,患者さんは,表情は硬いものの,うなずきました.

 

   *

 

臨地実習で学生は,看護の専門性を発揮しながら活き活きと働く看護職をモデルに,多くを学んでいます.

 

100人のナースがいたら100通りの看護があってよいと言われ,学生への指導方針が多少違っても,患者さんを主体に,同じ方向を目指しています.それぞれの実践知に基づいたレパートリーがある“きらきらナース”の看護を目の当たりにした瞬間,学生も私も「看護の道を選んでよかったな」と,心底思います.

 

(この記事はナーシング・キャンバス2016年1月号に掲載されたものです)