お役立ち満載

国際化社会と看護

第2回
足浴の効果と目的

小笠原 広実 Hiromi Ogasawara

医療法人 偕行会法人本部海外戦略部
公益財団法人 日本アジア医療看護育成会(研究員)

今の日本は,経済連携協定(EPA)によりインドネシアをはじめ,フィリピン,ベトナムの看護師がやってくる時代になりました.今後,みなさんも異文化で教育を受けた看護師と一緒に仕事をする機会があるかもしれません.

 

私はインドネシアの首都ジャカルタで,看護にかかわる仕事をしています.

 

ここでは,“普通の生活”と思っていた常識が大きく覆され,びっくりすることの連続です.

 

こうした異文化との出会いは,「個別的な生活過程を大切にし,患者さんを尊重する看護をしていきたい」と学び続けてきた私にとって,とても視野が広がる体験となっています.

 

本連載では,私が異文化の中で学んできたことを,みなさんにお伝えしていきます.

 

 

暑い国でも足浴はする?

前回は,「マンディ(入浴)をしてもよい」という看護師の言葉を聞いて,A型肝炎の急性期なのに,熱いお湯のシャワーを浴びて倒れてしまった失敗から学んだことを報告しました.今回は,両国間の看護教育の違いについて調査をした中で,印象深かった「足浴」について報告したいと思います.

 

日本では,足浴は大切な看護技術の1つですね.入浴のできない患者さんにとっては,お風呂に入った気分に近づけるし,末梢の血液循環を促進して,リラックスもできるので副交感神経が優位となり,気持ちがよいだけではなく回復にもよい効果をもたらします.

 

インドネシアでは,家族や親族のつながりが深く,誰かが入院すると大勢の親族が遠方からも駆けつけて付き添いをすることが多いです.そのため,患者の生活援助はほとんど家族が行うことが多いようです.

 

またインドネシアでは,全身を洗うのも,髪を洗うのも水を使うことがほとんどです.そのような中で,インドネシアでも足浴はするのだろうか,しかも温かいお湯に足をつけることを心地よく感じるのだろうか,という疑問がありました.

 

インドネシア人の看護師たちに尋ねたところ,足浴はお湯を使ってするとのこと.インドネシアでもリフレクソロジーは流行しており,足のマッサージの前には足浴をします.ただ,日本人の私にとっては,お湯の温度が少しぬるいと感じますが.