お役立ち満載
国際化社会と看護
- 第3回
- 排泄習慣の違い①
小笠原 広実 Hiromi Ogasawara
医療法人 偕行会法人本部海外戦略部
公益財団法人 日本アジア医療看護育成会(研究員)
当たり前が当たり前ではないことに気づく
また,日本では当たり前のように公衆トイレにはトイレットペーパーが常備されていますが,20年ほど前のインドネシアの公衆トイレには,トイレットペーパーが置いてあることはまずありませんでした(あったとしても,水びたしで使えませんでした).しかし,トイレットペーパーが置いてある公衆トイレも増えました.
“もちろん”トイレットペーパーは,便座の中に流すのではなく,横にある大きなゴミ箱に捨てるところがほとんどです.紙の質が悪いのと,水が不足しているのでそうするのですが,それがかえってエコになっているのかもしれません.
前述した水をバケツに貯めているトイレでは,自分で桶を使って水で流します.ずっと前から水洗ではあったのです.
紙で拭かないのは不衛生ではないかと思い,インドネシアの看護師に尋ねたことがありました.すると「洗わずに拭くだけなんて,汚れが取れないから日本のほうがもっと汚いんじゃないか」と言われ,ああ,そうかもしれないと納得したのを覚えています.まだウォシュレットトイレがそれほど日本でも普及していないときでした.
日本にいると毎日使っているトイレや方法が当たり前ですが,国外に出ると,それが当たり前ではないことに気づかされます.
(この記事はナーシング・キャンバス2016年6月号に掲載されたものです)
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