国際化社会と看護
- 第6回
- 病気のときの食
小笠原 広実 Hiromi Ogasawara
医療法人 偕行会法人本部海外戦略部
公益財団法人 日本アジア医療看護育成会(研究員)
私の所属している日本アジア医療看護育成会という団体は,経済連携協定(EPA)に基づく看護師受け入れ制度により,3年間日本に滞在したあと,国家試験に合格できずにインドネシアに帰国した看護師たちで,再び国試に挑戦したいという人たちの学習や来日の支援をしています.
その活動や,私自身のインドネシア滞在の経験を通して,今回は病気のときの食について感じたことをお話します.
外国で病気になったら
前回は,私が体調を崩しジャカルタのクリニックで点滴を受けたときに,インドネシアのおかゆを持ってきてもらって食べた話をしました.入院施設ではないクリニックで,食べ物まで用意するというのは,日本では考えられないことかもしれません.家に帰って食べればいいのにと思うかもしれません.でも,ジャカルタの状況と,外国人が来ることの多いそのクリニックの患者さんの生活状況を考えると,必要なことではないかと感じています.
日本では,家族と住んでいれば,病気のときには消化のよいおかゆやうどんなどを好みに応じて作ってもらうこともできます.また1人暮らしをしていても病院の帰りに簡単にコンビニに寄って帰ることもできます.コンビニに入れば,食欲があまりなくても,ちょっと食べられそうなものが目に入ります.
でも,ジャカルタで暮らす外国人の生活ではそうはいかないのです.単身赴任をしている人が多いこともありますが,車移動しか手段がなく,渋滞が多いので,「ちょっとコンビニに寄る」ということが難しいのです.もし,食料品店やコンビニに寄っても,ちょっと温めれば食べられそうなものは簡単に手に入りません.日本食のレストランもたくさんあるのですが,病気のときには,ちょっと寄るのは困難です.