お役立ち満載

国際化社会と看護

第7回
海外で暮らすときの健康管理

小笠原 広実 Hiromi Ogasawara

医療法人 偕行会法人本部海外戦略部
公益財団法人 日本アジア医療看護育成会(研究員)

インドネシアに駐在し,日本で働くことを目指す看護師の支援をしています!

 

 

自分の健康にも目を向けてほしい!

日本のサラリーマンと聞くと,家庭よりも仕事優先で,休みなく働いているというイメージがあるでしょうか? 《働き盛り》の年代は,仕事上の責任が大きくなり,仕事にやりがいを感じてくる時期ですから,自分の健康よりも仕事をつい優先してしまうことになります.少しくらいの身体の不調には目をつむり,そのうちよくなる,と考えて,仕事を休んでまで受診するのはなかなか難しいようです.これは,男性も女性も同じことがいえると思います.

 

《働き盛り》の年代は,生活習慣病が徐々に顕在化してくる時期です.早めに気づいて,生活を少しでも健康に整えていくことが大切ですが,【病気】になって初めて気づくことが多いのもこの時期です.

 

日本国内でもそういう状況ですから,慣れない生活をしている海外勤務者にとって,健康管理は余計に難しいのだと思います.インドネシアにも,とても優秀で働き者,仕事熱心な日本人が大勢駐在されています.1つの工場や会社に1名から数名の日本人しかおらず,責任のある仕事を1人で抱えている場合も多いようです.

 

また,首都ジャカルタとその近郊の渋滞は,世界的にも有名なようですが,毎日2時間以上かけて通勤している人も多く,少しでも渋滞をさけるために,朝6時前にはアパートを出て,夜は遅くなってから帰宅する方もいます.

 

この生活だと,まず食生活が乱れがちになります.職場によっては,近くで日本食を食べることはできず,社内食堂では辛いインドネシア料理しかないため,あまり食べられなかったり,夜は,居酒屋でアルコールとカロリーの高い料理を遅くに食べる,という方も多いようです.そのためか,血糖値や血圧が高い方も多い印象があります.

 

体調が悪くなってクリニックに来られても「忙しい」とおっしゃって,急いで職場に行く方も多く,本当に責任ある立場で休みなく生活をしていることがよくわかります.でも,やはり少し自分の身体のことに目を向けてほしいなあと思います.