お役立ち満載
国際化社会と看護
- 第4回
- 排泄習慣の違い②
小笠原 広実 Hiromi Ogasawara
医療法人 偕行会法人本部海外戦略部
公益財団法人 日本アジア医療看護育成会(研究員)
所変われば「排泄ケア」も変わる
水で洗い流したあとは,看護師がティッシュを取ってくれて自分で水分を拭き取ったのですが,できればそのあと,手を濡れタオルで拭きたかったなと思いました.
このときには,私が外国人ということもあり,個室入院で,看護師がすべてケアをしてくれました.
しかしインドネシアでは,大勢の家族や親族が交替で病人に付き添うことが多いため,排泄の世話は看護師ではなく,ほとんどの場合は家族がするものだとわかりました.他人にやってもらうのは恥ずかしいので,看護師にはやってもらいたがらないのだと,後日,別の調査でインドネシア人看護師からインタビュー時に聞きました.
もし私だったら,家族にやってもらうのはかえって恥ずかしいので,看護師にお願いしたいなと思うのですが,みなさんはいかがでしょうか?
こうした感じ方も,国それぞれの生活習慣によって違ってくるのかもしれません.病気で体も心も弱っていて,また痛みなどの症状をかかえているときには,よけいな心配や負担をかけずに,少しでも「心地いい」と感じてもらえるケアを行っていきたいですね.
そして,そのときには「国が違えば,その人の感じ方にも配慮しなければいけない」ということを,インドネシアで入院したときの排泄ケアを通じて学びました.
(この記事はナーシング・キャンバス2016年7月号に掲載されたものです)
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