お役立ち満載

国際化社会と看護

第5回
違う言語でコミュニケーションをとるとは

小笠原 広実 Hiromi Ogasawara

医療法人 偕行会法人本部海外戦略部
公益財団法人 日本アジア医療看護育成会(研究員)

体調が悪いときには小さな配慮も大切

でも,実を言うと,運ばれてきたときに,“ああ,やっぱりこれだよね……”と,かなりがっかりしたのです.「おかゆ」と聞いた私は,無意識に日本で風邪をひいたときに小さいころから食べ慣れている「おかゆ」をイメージしていたのでした.「bubur」はお米の種類が違うし,米粒はほとんどなくどろどろしていて,味付けも塩と梅干ではなく,インドネシアの調味料です.「おかゆ」という言葉から,私の頭の中には勝手なイメージができあがっていて,日本風のものを待っていたのでした.

 

そのあと,インドネシアの看護師たちには,「buburは,日本語の辞書にはおかゆとなっているけど,日本のおかゆとはまったく違うものだから,日本人の患者さんには『インドネシアのおかゆを準備できますよ』と伝えてください」とお願いしました.一応,それは食べたくないという方のためにも,バナナも選択肢にあるようです.ほんの小さなことですけれど,体調の悪いときには,とても大切な配慮だと思います.

 

国際看護イラスト8月

 

(この記事はナーシング・キャンバス2016年8月号に掲載されたものです)