お役立ち満載
国際化社会と看護
- 第8回
- 宗教への配慮
小笠原 広実 Hiromi Ogasawara
医療法人 偕行会法人本部海外戦略部
公益財団法人 日本アジア医療看護育成会(研究員)
インドネシアに駐在し,日本で働くことを目指す看護師の支援をしています!
宗教と食
日本で暮らす外国人も増えてきましたので,日本の病院で看護をするときに,外国人の患者さんをみる機会も多くなると思います.言葉の違いもあると思いますが,日本人が一番理解しにくいのは,宗教による食の違いかもしれません.
以前日本の新聞で,イスラム教の患者さんが入院して,豚肉を食べられないと言ったところ,それだけ食べないで残せばいいと言われ,とても困ったという投書を読んだことがあります.今は,EPAでインドネシア人の看護師(イスラム教の方が多いです)を受け入れている病院も増えましたので,このようなことは起こらないことを信じたいのですが,どうでしょうか.イスラム教の方々が,旅行で日本に来ることも増えて,HALAL認証(イスラム法のもと,イスラム教の作法が順守されているものをハラールといい,おもに食品を示します.公式に認められたものには認証のマークが入っています)のレストランやホテルも増えてきているようです.
イスラム教では,教えの中で豚肉は食べてはいけない,ほかの肉も,お祈りをしながら決められた方法で処理した肉しか食べられないということです.これは,私たちの好き嫌いや,アレルギーとは違っています.食材を移送するときにも,豚肉とは一緒に運んでいないとか,同じ調理器具で調理したものもだめだといわれていますので,ましてや同じお皿にのっているものの中から,豚肉だけを取り分けて残せばいいという性質のものではないのです.