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看護教員がおくるリレーエッセイ

第11回
看護学生の存在―情報収集の前に―

松田 直正 Naomasa Matsuda

淑徳大学看護栄養学部看護学科

 

情報収集の虜になっていませんか?

数年前,実習である学生が,「患者さんのS情報を取りに病室に行ったんですけど,うまく聞き出せませんでした.もう,何をどう話したらいいかわかりません」と言いました.

 

なるほど,その気持ちで,その態度で患者さんに会いに行っても,何も話してはくれないでしょう,私は即座にそう思いました.

 

実習指導は教員にとって,生やさしいものではありません.もし,即座に上記のように答えたら,学生は傷ついて患者さんに会いに行けなくなるかもしれません.また(一般論として),昨今の看護基礎教育の状況から,「先生は厳しすぎる」と,ハラスメントとして受け取られるかもしれません.

 

私は,学生の感性や助言への耐性,実習への準備状況などから判断して,さらに「今ならわかってもらえる」というタイミングを見計らいながら,助言しています.

 

たとえば,「患者さんを心配する気持ち,患者さんに強い関心が心底からあるという態度が大前提だよ.あなたのその気持ち,その態度が,患者さんに不思議と通じるよ」などと伝えます.

 

私のこだわりですが,看護学生は,とにもかくにも,患者さんにとってホッとできる,安心できる存在であってほしいのです.情報収集の虜になって,患者さんをモノのように扱うことだけは避けてほしいのです.